「孫の顔を見せられなかった」ことについて~「きのう何食べた?」でドキリ

2024.01.30

#きのう何食べた#ドラマ#よしながふみ#木下紫乃

「孫っていう形では 次の世代は残せなかった。
 でも、孫の顔を見せられなかったこと、
今はもう、2人に悪いとは思ってないんだ。
 俺は2人からいろんなものをもらってるし、
 俺のもらったものは何かしら、どっかに伝わってると思うから」
(ドラマ「きのう何食べた?」 筧 史朗)
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一昨年に続きSeason2が放映されたドラマ「きのう何食べた?」。
12月23日に最終回が放映されました。

音声メディアのクラブハウスのWINK部屋でも話題になったこのドラマ。
ご存じの方も多いかと思いますが、西島秀俊さんが演じる弁護士、史朗と、内野聖陽さん演じる美容師、賢二のアラフィフのゲイカップルの生活を、料理を作るシーンを中心に描いたドラマです。
原作は、よしながふみさん作の漫画です。
(冒頭の画像は、よしながさんの漫画の表紙です)

ご紹介したセリフは、ドラマの最終回に史朗が両親に向けて語った言葉です。
実家を売って高齢者施設への入居資金にあてることを決めた両親に対し、史朗は自分が資金援助するので、もっと近い場所の施設に入ることを勧めます。
そんな史朗に両親は、自分の老後準備のために資金を残しておくようにと伝え、家や財産を残せなかったことを謝罪します。
そんな両親に史朗が伝えたのが、ご紹介した言葉でした。

子どものいない人から、よく聞くのが「親には孫の顔を見せられず、申し訳ないと思う」という言葉です。
自分自身の生き方としては、子どものいない人生を受け入れている。しかし親に対しては後ろめたさをぬぐい切れないという方も少なくありません。私自身もそうした思いを抱いていました。

しかし、孫の顔を見せることだけが「親孝行」ではないことは、言うまでもありません。
一生懸命に現実に向かい生きていることは、他の人になにがしかの影響を及ぼしている。
会社などに努めていれば、その姿勢は後輩や部下にも影響を及ぼしているでしょう。

次世代を育てるというのは、自分の子孫だけではありません。
史朗さんであれば、料理を通じてできた友人が、自分の孫に「史朗」にちなんだ名前を付けてくれた。そこに、誠実に人生を送る史朗への敬意と愛情が存在します。
そうした愛情はきっと名付けられた子どもに伝わっていくのだと思います。
自分に誠実に、一生懸命生きていく。
それが自分を生んでくれた親への愛情表現であり、そのこと自体が尊い…そんなことを感じさせてくれたエピソードでした。

※WINKでは「次世代に伝える・育てる」ということを考えるイベントを3月10日に開催します。
昼スナックママとして、さまざまな人の対話の場をつくっていきた木下紫乃さんがゲストスピーカーでいらっしゃいます。
ぜひご参加ください!
詳細・お申し込みは以下から
「昼スナックママ紫乃さんに聞く『大人の責任』とは ~子どものいない私たちも未来を創る~」