【活動報告】文京区社会福祉協議会との協業から見えた「子どものいない人の将来不安」と、これからの地域縁

2026.03.20

#Bチャレ#エンディングノート#地域社会#文京区社会福祉協議会#終活#老活

2025年、一般社団法人WINKは、文京区社会福祉協議会との協業事業としてセミナー「老後不安に向き合う」を開催しました。併せて、子どものいない人の老後への備えの実態について調査を実施しました。

セミナーについては、既に本ブログでも報告しておりますが、今回は「実際調査」について報告いたします。

▼セミナー報告
【レポート】文京区社協との協業イベント開催!「子どものいない人の『老後不安』に向き合う」

今回のプロジェクトは、私たちWINKにとって大きな一歩となりました。なぜなら、これまで個人の自助努力や民間サービスに委ねられがちだった「子どものいない人の終活・老後問題」に対し、「地域(行政・社協)」という公的な枠組みと手を取り合い、解決の糸口を探る挑戦だったからです。

本記事では、なぜ今「近くに住む人との繋がり」が不可欠なのか、そして調査によって浮き彫りになった「公的システムの限界と現実のギャップ」について詳しくご報告します。

1. なぜ「近くに住む人」との繋がりが必要なのか:行政との協業の背景

老後の不安を語る際、多くの方が「お金」や「健康」を挙げます。しかし、子どものいない人にとって、真に切実なのは「いざという時に動いてくれるキーパーソンの不在」です。

急な入院が必要になったとき、あるいは認知症で判断能力が低下したとき。遠方の親戚や信頼できる友人がいたとしても、物理的な距離やそれぞれの生活がある中で、日常的なサポートを頼み切るのには限界があります。

「何かあったときに、まずは駆けつけてくれる、あるいは異変に気づいてくれる人が近くにいること」

この「近助(きんじょ)」の概念こそが、私たちが安心して人生を全うするための最後のセーフティネットになると考えました。今回の文京区社会福祉協議会との協業は、単なるイベント開催に留まらず、地域住民という公的な枠組みの中に「子どものいない人」という属性を正しく位置づけ、相互に支え合える仕組みを構築するための第一歩なのです。

2. 意識調査から明らかになった「制度の隙間」と「現実のギャップ」

今回の調査(回答数76名)を通じて、公的なシステムが想定している「家族モデル」と、私たちの現実との間にある深刻なギャップが浮き彫りになりました

 

① 入院・手術という「日常の延長にある壁」

調査結果では、医療・入院手続きへの不安を訴える声が35名以上にのぼりました 日本の公的・医療システムの多くは、依然として「身元保証人」や「緊急連絡先」に家族・親族がいることを前提としています。「緊急連絡先に書ける人がいない」「入院時にキーパーソンが必要だと知り不安になった」という切実な声は、制度が一人暮らしや子どものいない世帯の現状に追いついていないことを証明しています

 

② 「死後事務」を担う存在の不在

死後の手続き、遺品整理、家じまいに対する不安も大量に出現しました 。「迷惑をかけたくないが、頼む人がいない」というジレンマは、公的な福祉サービスだけでは解決できない「死後の事務」というグレーゾーンに、多くの方が取り残されている現状を示しています

 

③ 文京区で見えた「孤立予備軍」の存在

特筆すべきは、文京区在住者の傾向です。他地域に比べ、職場や趣味を通じた繋がりが弱く、近所付き合いはあっても「深い相談」ができないという特徴が見られました これは、一見社会的に自立している現役世代であっても、いざという時のサポート基盤が脆い「孤立予備軍」であることを意味しています。文京区では特に「同じ立場(子どものいない人)同士で繋がりたい」というニーズが高く、共通の境遇を持つ者同士のコミュニティ形成が、不安解消の鍵であると考えられます 

 

3. 「何が分からないかは分かっている」段階からの脱却へ

今回の参加者の多くは、自身の不安を「言語化」できています。現状は、 「家を借りる時の保証人がいない」「判断能力が落ちたらどうなるのか」といった具体的な懸念に対し、既存の行政サービスや民間サービスの情報が、必要としている人に届いていない、あるいは使い勝手が悪いというミスマッチが起きていると言えるのではないでしょうか 

アンケートでは、単発の講座ではなく「継続的に関われる場」や「まとめて試せる・学べる場」を求める声が強く上がりました 。これは、情報提供だけでなく、その情報を共に学び、実践し、分かち合える「居場所」こそが、将来の安心を支える基盤になることを示唆しています。

 

結びに:これからのWINKの役割

今回の調査結果は、私たちが進むべき道を明確にしてくれました。 公的システムの隙間を埋めるのは、制度の改善を待つことだけではありません。地域の中で「同じ不安を持つ者同士」が繋がり、情報を共有し、いざという時に助け合える「緩やかな連帯」を作っていくこと。WINKがこれまで培ってきた「WINKo Lab.」もその一つと言えるでしょう。
そして、今後、重要になってくるのは、その活動を今回のように地域社会(社協・行政)と連携させ、社会的なインフラとして認めてもらうことです。

文京区で芽生えたこの取り組みを、さらに深め、広げていきたいと考えています。

調査のより詳細なデータや、子どものいない人の終活における具体的な取組等については、代表理事・朝生容子のnoteにて詳しく解説してまいります。ぜひ併せてご覧ください。