【開催レポート】WINK5周年記念シンポジウム

2026.03.03

#若宮正子さん#重松久惠さん#須田万里子さん

(一社)WINK代表理事の朝生です。

いつも私たちの活動を温かく見守っていただき、ありがとうございます。
おかげさまで(一社)WINKは、この3月で設立5周年を迎えます。
3月1日には、その記念シンポジウムを開催いたしました

熱気あふれる当日の様子をお届けします。
メモに残しておきたいキーワードが盛りだくさんだった当日。エッセンスを凝縮してお伝えします。

 


 

「とりあえずやってみる」が人生を拓く。
若宮正子さんの圧倒的なエネルギー

お話する若宮さん   

まず、世界最高齢のアプリ開発者として知られる若宮正子(マーちゃん)さんの基調講演「人生を楽しむ秘訣は”とりあえずやってみる!”」からスタート。


若宮さんが語る「人生を楽しむ秘訣」は、「自立心」と「好奇心」であり、お年を召してなお、その要素が盛んでいらっしゃる様子が伝わってまいりました。

1935年生まれの若宮さんが、戦後の混迷から現代のロボット・AI技術までをどう見つめてきたのか 御年90歳(今年で91歳!)とは思えない瑞々しい感性と、AI時代の荒波さえも「面白そう!」と乗りこなす軽やかなフットワーク をお持ちです。


かつては漫才のネタのようだった空想が現実になった今、自分に制約を設けてしまう「半透明の箱」から一歩踏み出すために必要なマインドセットとは何か
「失敗は次への学びの材料でしかない」「たとえ失敗しても、新しい取り組みをした人こそ、称賛するべき」と断言されます。

また、高齢者のITツールの活用をうたう若宮さんですが、デジタルで情報を得つつも、最後はアナログな「人とのつながり」で心を深めていくことの重要性を訴えられていました

会場でお目にかかったときは、想像以上に小柄で、補聴器もおつけになっていて、失礼ながら少々頼りないイメージを受けたのに、お話が始まったとたんにシャキッとされたのには驚きました。そんな若宮さんの、ユーモアたっぷりの言葉の一つひとつに、会場全体が勇気づけられ、温かいエネルギーに包まれていくのが分かりました

 

転機をどう「楽しむ」か? 魂のパネルディスカッション

   

続く第2部では、キャリアコンサルタントの須田万里子さん、商品開発アドバイザーの重松久惠さんに加わっていただき、若宮さんと3人のパネルディスカッションを行いました

テーマは「転機をどう迎えて楽しむか」

今は第一線で活躍されている3人の登壇者ですが、実はそれぞれが大変な「転機」を経験しています。

重松さんは、51歳での離婚が最大の転機だったと語られます。それまではバブリーな生活を謳歌していたのに、夫と一緒に手掛けていた事業の失敗もあり、手元にはわずかな資金と借金だけが残りました。
そこから中小企業診断士を目指し、受験勉強に取り組んだことが、過去の公開や将来への不安に必要以上に苛まれず、結果的に再起につながったとのことでした

須田万里子さんは、「良いお母さんになる」ことを疑わなかったにもかかわらず、流産。それが仕事をするきっかけになったそうです。長年勤めた会社で管理職を務められるも50歳でリストラに遭われます。それまでは「いい気になっていた」と振り返られ、今はリストラになったことをポジティブに語られました。
その後、声をかけられる仕事は何でも引き受けたことで、いまのキャリアコンサルタントとしてのご活躍につながります。もっと社会で活躍するキャリアコンサルタントを増やしたいという思いから、3年前に「須田塾」を立ち上げられました

今や世界が注目する若宮正子さんも、かつては母親との確執により精神的不調に陥ったことがあったそうです。お母様は伝統的な価値観で、自由を求める若宮さんの束縛しようとしたとのこと。その後、お母様が若宮さんを頼ることになり、関係性も変化したそうです。
また、結婚を誓った相手との別れも経験されたことがあったそうです。ただ、ドイツに渡ったそのお相手とは、今も交流が続いているというのも、若宮さんらしいなあと感じました。

その時には「どん底」とも思える状況を、私たちはどう解釈し、どう「挽回」してきたのか。お三方の赤裸々に語られた体験は大変示唆深く感じました 

三者三様の「守り」

人生を楽しむ「攻め」の一方で、「守り」も大切です。「守り」の姿勢は三者三様だったのも興味深いところでした。

若宮さんは、銀行員時代の貯えのおかげで、経済的心配はないとのことですが、「使い方」にはこだわりをお持ちです。「良いことに使う」ことを心がけられており、子ども食堂の支援などに使っているそうです。

須田さんは、あまり計画をせずに、「求められるところで稼ぐ」ポリシーでいらっしゃる一方、重松さんは計画を大事にされています。1年単位、10年単位で、必要なコストを見込み、そこから目指す収入を算出しているのだとか。

経済的な自立や老後の備え、地域とのつながりは切実なテーマです。単なる理想論ではない、具体的でいてどこか楽観的な「生活の知恵」が飛び交う時間となりました

 

つながりが生む、新しい一歩


第3部の対話会では、オンライン・オフライン問わず、参加者の皆さんと深い対話の時間が持たれました

質問タイムでは、「人様のお子さんへの感情」についての質問がありました。流産経験のある須田さんは、「しばらくは、人の子どもを見るのが本当につらかった」と吐露されました。しかし「私には子どもがいないのではなく、子どものいない人生を授けられた」と発想を転換。「子どもがいないからこそ、すべての子どもを愛せるのでは」という言葉には、多くの人が頷いていました。日常では蓋をしてしまいがちな想いですが、それを共有し、互いに受け止め合う 時間となりました。

また、お三方の将来、取り組みたいことについても質問がありました。「もう91歳だから、やりたいことは何をおいても優先する」という若宮さん。「織物の修行に行く」ことを今年やることとして既に決めている重松さん。そして、いつかはホスピスで傾聴をしたいと考えていた須田さんは、「”いつかは”ではなく、すぐに始めたほうがよいかも」と他のお二人に刺激を受けたご様子でしたWINKらしい、優しくも力強い連帯感を感じることができました。

続いて、4月から新しい募集が始まる「WINKo Lab.(ウィンコラボ)」の募集についてご案内をしましたが、こうした連帯を築く場にしていきたいという思いを新たにしました

「もう遅い」なんてことは、人生には一度もありません。

とりあえず、やってみる。

そんな軽やかさを持っていきたいと思った時間でした。