今クールのNHK朝ドラ「あんぱん」はご覧になっていますか?
アンパンマンの作者、やなせたかしさんと妻の小松暢さんをモデルにした作品です。(ドラマでは、それぞれ、やないたかし、朝田のぶという名前になっています)
やないたかしの育ての父、寛を演じるのは竹ノ内豊さん、育ての母、千代子は、戸田菜穂さんが演じます。
事情があって、たかしと弟の千尋を引き取った寛と千代子夫婦。彼らは実の子どもには恵まれませんでした。
甥を養子にしたのは、自らの経営する医院の跡取りに、と当初は黙していたのかもしれません。
しかし、たかしと千尋は、長じて医学とは別の道を志します。
思惑が外れた千代子は、「跡取りを生めんかった私のせいです」と、寛のウイスキーを口にします。
そんな千代子に対し、寛は「君はこの家と結婚したがか? わしと結婚したがやないがか?」「わしよりこの家に縛られたいがか?」と問い、さらに「わしは千代子に惚れて、一緒になれて、これ以上の人生はないと思うちゅう」と伝えます。
子どもを生まないと、どこか後ろめたさを抱きがちです。家の跡取りがいない、孫の顔を見せられない、そして社会に対して。まるで少子化の元凶とでもいうように。
ついつい自分も自分のことを責めてしまいがちです。せめて自分は自分のことを尊重してあげたいと思うのですが、実際には難しい。
そんな時に、パートナーが自分を尊重してくれる言葉をかけてくれたら、自責の念も払拭できるのではないでしょうか。
残念ながら、竹野内豊さん演じる寛は、今週、死を迎えてしまいました。
愛する夫を失った千代子は、ふたたびウイスキーを飲みながら、寛に献杯。思い出に語るのは、「君はこの家と結婚したがか?」と叱ってくれた時のことでした。
モデルとなったやなせたかしさんと暢さんご夫婦には子どもはいなかったとのこと。そのことをどのように描くのか、個人的に注目しているポイントでもあります。
子どものいないことに、主人公の二人がどう向き合っていくのか、あるいは特に向き合いはしないのか、これからの描かれ方に注目です。