開催レポート「『老後ひとり難民時代』を生き抜く」~(一社)WINK4周年記念シンポジウム(2025年3月9日)

2025.03.11

#沢村香苗さん#老後ひとり難民

3月9日に(一社)WINKの4周年記念シンポジウム、「『老後ひとり難民時代』を生き抜く」を開催しました。

久しぶりの会場開催。
お休みの日に関わらず、定員いっぱいの方に参加いただき、本テーマへの関心の高さを認識しました。
参加者の皆様には改めて感謝申し上げます。

第一部基調講演は、日本総研で長年、高齢者が安心して地域で暮らし続けるための課題と支援体制について、調査研究を続けてこられた沢村さんにお話をうかがいました。

高齢期を迎えた際、頼れる家族がいない人々が直面する「住まい探し」「医療・介護」「死後」などの問題を取り上げお話をされました。

成年後見制度や死後事務委任など、専門家による高度な支援制度は整えられつつあります。
しかし、現実には「急に入院した時に、家にある入れ歯を持ってきてくれるのは誰か?」といった些細なことに、困りごととして直面します。
これまで「家族」が担ってきたちょっとした仕事の担い手がいなくなっているのが今日の現実なのです。

この問題には、正解を見出すのは非常に困難だと沢村さんはおっしゃいます。
もし誰かにやってもらうとしたら、多大な金額になるでしょう。
家族が無償でやってきたことに、袖だけのお金をかけられないと思う人が大半であることは容易に想像できます。

そうした困難な現実を踏まえて、家族以外の「支援付き」の仕組みづくりが必要です。
沢村さんは地域ぐるみの包括的なサポート体制の構築や制度設計を行うことの重要性を強調されていました。
同時に、地域単位での支援も訴えられました。
さらに私たちが何を望んでいるのか、声を上げていくことが非常に重要だと沢村さんは語られます。

続く第二部の対話会では、沢村さんから示された以下の3つのテーマについて、グループに分かれて対話を行いました。

(1)「老後ひとり難民」にならないために、私たちはどんなことをしていけばよいか?
(2)支援する側として何ができるか?
(3)国や自治体に期待することはどんなことか?

「老後ひとり難民」への不安は抱きながらも、普段は、こうしたテーマを誰かと語り合う機会はそうないからでしょうか。参加者の皆さん一人一人が、自分の体験を引き合いにしながら、語り合っていたのが印象的でした。

(話し合った内容をメモにしていく)

一人で老後への不安を抱えて考えていると、堂々巡りをしてしまいがちです。こうして立場を近くする人同士で語り合うことで、新たな気づきを得た方も多かったようです。

繰り返しになりますが、「老後ひとり難民問題」には答えはありません。そして現時点では、国や自治体の姿勢も残念ながら積極的とはいえません。しかし私たち一人で向き合うにはあまりにも重い課題です。そうした重さにも負けずにいるためにも、つながりが大事であると感じました。

※3月20日にオンライン版を開催いたします。当日の沢村さんの基調講演(録画)を見て、参加者同士で対話を行います。会場で参加できなかった方は、ぜひご参加ください。
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